『朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)2020グレナディアガーズ血統考察』YRA

血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで
今週は12月20日に開催された2歳マイル王決定戦、朝日杯FSを勝ったグレナディアガーズを取り上げます。
1枠2番グレナディアガーズは五分のスタートを切るとスッと先団へ。
最初の600mを前から3番手の位置で通過すると、3~4コーナーでは競り合ってくる馬もおらず、折り合ったまま楽に直線を迎えた。
そのまま追い出しを開始すると、残り200mを切った地点で先頭へ。
後続から上位人気馬たちが追い込んでくるのを尻目に最後は流しながら楽にゴール板を駆け抜けた。
本馬はこれで2勝目。重賞初挑戦でG1制覇を達成、2歳マイル王の座を手にした。
グレナディアガーズの父Frankelはイギリス産馬で現役時代、海外で14戦14勝。
イギリス1000ギニー、サセックスS、インターナショナルSを始めG1を計10勝。
世界的な歴史に残る名馬である。
父はGalileo(Sadler’s Wells~ノーザンダンサー系)で重厚な欧州血統だが、その中でも種牡馬としては軽めの芝向きで、それが日本で活躍馬を送り出している背景になっている。
種牡馬として初年度産駒からソウルスターリング(阪神JF、オークス)を輩出。
日本で早速G1を制覇した。
その1年後にモズアスコットが安田記念を制したことで、2頭目のG1制覇を達成。
そして今回の本馬で3頭のG1馬輩出となった。
2019年イギリスの種牡馬ランクは第4位。
母ウェイヴェルアベニューはカナダ産馬。現役時、海外で20戦7勝。
主な勝鞍はBCフィリー&メアスプリント(アメリカG1・ダート7F)。
現役引退後、日本に輸入され繁殖となった。
繁殖となり本馬が初仔。1頭目からG1馬輩出となり、繁殖力も期待大。
血統背景は父Harlington(Unbridled~Mr. Prospector~ネイティヴダンサー系)×母父Silver Deputy(Deputy Minister~Vice Regent~ノーザンダンサー系)の組み合わせ。
母方にあるUnbridledとDeputy Ministerといった血は日本で走る多くの活躍馬の母系に入っているおなじみの血。
この日本に合いそうな牝馬を日本の種牡馬と交配させて活躍馬を作ろうとの目論見で輸入してきたと推察されるが、輸入時に既に受胎していた初仔がいきなりG1馬となってしまったのは嬉しい誤算だろう。
日本の種牡馬との交配による今後の仔たちには否が応にも期待は高まる。
最後は本馬が持つBlushing Groomのクロスについて触れておきます。
Blushing GroomはRed Godの直仔の大系統ナスルーラ系で、スピードの持続力に長けた血。
短距離的なスピードというのは、気性によるところが大きく作用している場合もあり、このBlushing Groomはまさにそんなパターンです。
その理由は同馬が持つ「Wild Risk」によるもので、この血は狂気と呼ばれる程の激しい血です。
近年の日本ではサンデー系との配合でこの血を上手く取り入れることで、時として大きな爆発力を生み出すポイントの血となっています。
ただ、狂気的な部分が強くでてしまうとどうしても思うようにいかないのでこの辺はギャンブル的な要素が強いのも事実です。
実際、2走前の未勝利戦(芝1600m戦4着。勝ち馬は今回1番人気だったレッドベルオーブ)では距離が長かったことが敗因ではなく、スタート後に競り合ったレッドベルオーブにムキになってしまい、最後の直線では余力が残っていなかったことが敗因でした。
これはBlushing Groomのクロスを持つ以上、こういう面が顔を覗かせる可能性は常につきまといます。
馬券を買う側もこのことは頭の片隅に置いておく必要があるでしょう。
投稿者プロフィール

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血統の設計図から好走率を占う予想家
趣味の一口馬主が高じて牧場通いをするも「馬関係者でも走る馬はわからない」という結論に至る。そこから少しでも走る馬を見極めるために血統に没頭。血統から展開されるレース回顧は好評を得ている。
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