『フェアリーステークス(GⅢ)2021ファインルージュ血統考察』YRA

血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで
今週は1月11日に開催された牝馬クラシックの登竜門、フェアリーステークス(G3・芝1600m)を勝ったファインルージュを取り上げます。
5枠9番ファインルージュは五分のスタートを切ると、やや抑えて後方から4~5番手の位置を追走。
3~4コーナーの中間から進出を開始すると、直線は前から8番手の外のポジションで迎えた。
そのまま追い出しを開始すると、他馬とは明らかに違う脚色で残り200mを切って3番手に浮上。
そのまま先頭に躍り出ると、最後は2着に2.1/2馬身差をつける圧勝でこのレースを制した。
本馬はこれで2勝目。前走の未勝利戦から連勝で重賞初制覇を果たした。
ファインルージュの父キズナは現役時代、日本ダービーを制して凱旋門賞へ挑戦した(4着)。
「父ディープインパクト×母父ストームキャット」の配合はディープインパクトのお手本のような配合でキズナはその代表格と言える。
ディープインパクトの後継種牡馬として期待されており、初年度の種付頭数269頭はこれまでの新種牡馬の種付最多頭数記録を更新した。
2020年種牡馬ランクは第8位。
母パシオンルージュは現役時、27戦3勝(条件馬)。
繁殖としてデビュー済み産駒は本馬を含め4頭。
父ヘニーヒューズ(4勝)→父キンシャサノキセキ(3勝)→父キンシャサノキセキ(未勝利)→父キズナ(本馬)
1つ上の半兄以外は2頭とも勝ち上がっており、共に複数勝ちを収めている。
そして今回、本馬が重賞制覇と繁殖力は高い。
血統背景は父ボストンハーバー(~Seattle Slew~ナスルーラ系)×母父ダンスインザダーク(サンデーサイレンス系)の組み合わせ。
父キズナの配合を考える時、母方にある重め血統をいかに活かすかがテーマで、ディープインパクトから続くキレ味を引き出すには、上手くスピード血統を取り入れることがポイント。
その点においては、母は現役時代に直千の舞台で2勝を挙げた程のスピードタイプだったのでこのセオリーに合致していると言える。
父×「母方にVice Regent系の血」を持つ組み合わせは、オープンまで出世しているクリスティと同じ。
このクリスティとはサンデーサイレンスのクロスを持つことでも合致している。
また、Nijinskyの血を持つ点ではディープボンド(京都新聞杯・G2)と同じ。
さらにBlushing Groomの血はチューリップ賞(G2)・紫苑ステークス(G3)を制しているマルターズディオサと同じ。
このように本馬は父の成功ポイントの血を数多く持ち併せている。
実はこれらの血というのは、ほとんどがキズナの父ディープインパクトと相性が良い血なのである。
このことから、キズナの配合というのは父ディープインパクトと相性が良かった血をプラスすることで活躍馬を輩出する近道になるということがおわかり頂けるのではないだろうか。
戦前のnetkeibaでの血統傾向記事では過去3年連続で勝ち馬が「Danzig」の血を持っていたことからポイントの血として取り上げました。
noteではこの血を持つクールキャットに本命◎を打ったものの結果は10着。
早めに動いて勝負に出た津村騎手を責めるつもりは全くありませんが、血統傾向は来年また考え直す必要に迫られることになったので、血統調査員としては今週もまた宿題をもらってしまったなといった気持ちになっています。
投稿者プロフィール

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血統の設計図から好走率を占う予想家
趣味の一口馬主が高じて牧場通いをするも「馬関係者でも走る馬はわからない」という結論に至る。そこから少しでも走る馬を見極めるために血統に没頭。血統から展開されるレース回顧は好評を得ている。
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