『NHKマイルカップの結果から最近のトレンドを検証』田中洋平
今年のNHKマイルカップは、
サンデーレーシングの馬が1~3着を独占。
1着 シュネルマイスター(サンデーレーシング)
2着 ソングライン(サンデーレーシング)
3着 グレナディアガーズ(サンデーレーシング)
毎年スターホースを輩出している一口クラブで、
ノーザンファームがもっとも力を入れているクラブでしょう。
◆現6歳世代
ラッキーライラック(阪神JF・大阪杯・エ女王杯2勝)
フィエールマン(菊花賞・天皇賞春2勝)
ステルヴィオ(マイルCS)
◆現5歳世代
クロノジェネシス(秋華賞・宝塚記念・有馬記念)
グランアレグリア(桜花賞・安田記念・マイルCS・スプリンターズS)
◆現4歳世代
ヴェルトライゼンデ(ホープフルS2着・ダービー3着)
ルフトシュトローム(NHKマイルC5着)
◆現3歳世代
グレナディアガーズ(朝日杯FS)
シュネルマイスター(NHKマイルC)
サンデーレーシングの代表的な馬たちですが、
現4歳世代はびっくりするくらい弱いですね。
しかもヴェルトライゼンデの父親はドリームジャーニーで、
募集価格は3600万円。
ルフトシュトロームの父親はキンシャサノキセキで、
募集価格は3200万円。
1億を超える募集価格の馬が何頭もいるサンデーレーシングの中で、
この2頭の募集価格は中堅クラス。
本当はもっと走ってもらわないと困る馬が、
何頭もいるのに不発だったため、
コントレイルとデアリングタクトの無敗3冠を許した感じでしょうか。
そして現3歳世代は以下の通り。
阪神JF → ソダシ
朝日杯FS → グレナディアガーズ(サンデーレーシング)
ホープフルS → ダノンザキッド
桜花賞 → ソダシ
皐月賞 → エフフォーリア
NHKマイルC → シュネルマイスター(サンデーレーシング)
現時点で6つのG1が行われていて、
そのうちの2つ獲っているなら、サンデーレーシングとしては合格点でしょう。
まーいずれにせよ、
6つのG1すべてがノーザンファーム生産馬というのが、
業界ナンバーワン牧場の恐ろしいところ。
そのノーザンファームですが、
育成牧場が2つあります。
東 → ノーザンファーム天栄
西 → ノーザンファームしがらき
すでにすっかり有名になりましたが、
これは外厩と言われるもので、レースが終わった馬を預かる。
この外厩でレースの疲れを取ってから、
徐々に再始動を促して、次のレースに向けて仕上げていく。
あとレース出走の10日前までに厩舎(トレセン)に戻せばいいので、
それまでに80%~95%くらいまで馬を仕上げる。
残りの5~10%くらいは、
トレセンで調教師が仕上げてレースに出走させる。
という流れですよね。
つまり最近のノーザンファーム生産馬は、
ノーザンファーム育成牧場の人間が80%以上を作っている。
残りの5~10%を、トレセン関係者が作る。
ということになります。
ここで見て欲しいのが下記のデータ。
これは美浦トレセンと栗東トレセンに所属している馬の成績で、
よく言われる西高東低というやつですね。
関東馬に比べて、関西馬が強い。
最近は常識になっている状況ですが、
これがノーザンファーム生産馬の場合は違ってきます↓
関東馬も関西馬もほぼ同じ成績。
これはサンデーレーシング、キャロットファーム、
シルクレーシングのノーザン系一口クラブの他に、
ディープインパクトの金子オーナーや、サトノの里見オーナーの馬も含まれています。
つまりノーザンファーム生産馬すべてが対象なんですが、
なぜノーザン生産馬は東西均等だと思いますか?
全体では西高東低なのに。
それはノーザンファーム天栄が普通に優秀だから、
だと私は推測しています。
才能ある馬を美浦トレセンに完全に任せると、
能力を60%くらいまでしか引き出せない。
反対に栗東トレセンに任せると、
90%まで引き出せる。
この差が西高東低の成績差に繋がるのだと思いますが、
ノーザンファーム天栄としがらきなら、普通に80%まで引き出してくれる。
あとはトレセンで軽く調教すれば済む。
こう言っちゃ失礼ですが、
腕のない美浦トレセンの厩舎でも、最低80%の状態で出走できるわけです。
だからノーザンファーム生産馬は、東西の成績に差がない。
このことを踏まえてNHKマイルカップの1~3着馬を見ると、
こうなります。
1着 シュネルマイスター(関東馬)
2着 ソングライン(関東馬)
3着 グレナディアガーズ(関西馬)
馬連3690円
関東馬のワンツーでした。
しかも関東馬は上記に2頭に加えて、
アナザーリリック、ランドオブリバティ、ヴェイルネビュラの5頭だけ。
残りの13頭がすべて関西馬だったことを考えると、
このワンツーは価値が高いと思います。
その証拠データがこちら↓
これはG1でのノーザンファーム生産馬の成績。
東京と中山(東開催)で行われるG1では、
実はノーザンファーム関東馬の方が強いのです。
逆に京都、阪神、中京(西開催)で行われるG1では、
ノーザンファーム関西馬の方は強い。
お互いに、地元では負けられない!
数年前までは関東圏もノーザンファーム関西馬が独占していたタイトルを、
ノーザンファーム関東馬が奪還している感じでしょうか。
このデータを見れば、
NHKマイルカップが関東馬ワンツーだったのも理解できる。
重賞はだまって関西馬!という数年前までの流れから、
重賞はだまって地元の馬!とくにノーザンファーム生産馬に注意!
というトレンドに変わりつつあるというお話でした。
参考になれば幸いです。
投稿者プロフィール
-
田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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