『重賞でトラックチェンジしてきた馬の取り扱いを検証』田中洋平
重賞レース(G1、G2、G3)で、
前走とは違うトラックに出走してきた馬をどう扱っていますか?
この説明ではちょっと分かりづらいかもしれませんね。
前走芝 → 今走ダート
前走ダート → 今走芝
このようにトラック(馬場)をチェンジしてきた馬です。
最近ですとフェブラリーSに出走したダイワキャグニーが、
このローテーションに該当します。
前走 京都金杯(2着)
今走 フェブラリーS(15着)
もともとはダービーにも出走していた馬で、
エプソムカップ(G3)を勝利、毎日王冠(G2)で2着と、
芝のレースで活躍してきた実績馬。
フェブラリーSへの出走は、
馬に刺激を与える目的があったのか、ちょっと結果が伴わなかったですね。
実際、京都金杯の前にダートの武蔵野Sを使っていて、
その反動があって、京都金杯で激走した可能性もあります。
3走前 毎日王冠(芝)4着
2走前 武蔵野S(ダ)8着
前走 京都金杯(芝)2着 ←←←
今走 フェブラリーS(ダ)15着
次走 ?????(芝)
ということは、
ダイワキャグニーは、次の芝のレースが狙い目かも、
みたいな仮説を立てている人も多いかと思います。
実際、ダイワキャグニーが、
4月の大阪杯(芝2000m)あたりに出走してきたら、
もしかして一発あるかも…
と気になって、
馬券を買ってしまうかもしれません。
そこで今回は、
重賞でトラックチェンジしてきた馬の取り扱いについて、
調べてみたいともいます。
ではまず芝のレースから。
◆芝の重賞レース
・前走芝だった馬
勝率7% 連対率14% 複勝率21%
単勝回収率74% 複勝回収率72%
・前走ダートだった馬
勝率1% 連対率4% 複勝率4%
単勝回収率72% 複勝回収率51%
一目瞭然ですが、
芝の重賞レースで、前走ダートだった馬の成績はけっこうキボシイ。
勝率1%ですからね。
ダイワキャグニーの京都金杯の激走は、レアケースなのかもしれません。
と、ここで終わってしまっては面白くないので、
もう一歩踏み込んでみます。
それは今回のグレードに注目。
今回がG1とG2の場合は、通用しないと考えて良いでしょう。
そして今回がG3だった場合は、狙ってみる価値がありそう。
先ほど例に出したダイワキャグニーも、G3の京都金杯で激走しています。
芝のG3レースは、ハンデ戦が組まれていることも多いので、
全体的にみると混戦で荒れることが多いカテゴリー。
トラックチェンジしてきた馬にも、付け入るスキがあるということでしょう。
芝の重賞レースの場合、
G3の時だけ、前走ダート馬に注意すれば良さそうです。
では次に、今回はダート重賞の場合。
◆ダートの重賞レース
・前走ダートだった馬
勝率7% 連対率13% 複勝率20%
単勝回収率63% 複勝回収率79%
・前走芝だった馬
勝率4% 連対率7% 複勝率7%
単勝回収率30% 複勝回収率58%
ダ→芝重賞の時ほど壊滅的ではありませんが、
こちらのトラックチェンジも、けっこう厳しいですね。
なんせ単勝回収率30%ですから、目も当てられません。
回収率が低いということは、
人気を背負って飛んでいる馬がいるということ。
芝でアタマ打ちになった実績馬が、
ダートに挑戦して、跳ね返されらるというパターンが多いのでしょう。
ではこっちも今回のグレードに注目してみましょう。
頭数は少ないですが、
こちらもG1、G2では通用しないことが分かりますね。
前走芝のレースに出走していた馬が通用するのは、
G3レベルまで。
ですが、ここままでは妙味がないので、
もう一段、掘り下げてみます。
これは前走のクラス別の成績です。
ちょっとややこしいので補足をすると、
前走芝(G1、G2) → 今回ダ(G3)
このようなローテーションの場合、下記のような成績になります。
勝率13% 連対率19% 複勝率19%
単勝回収率103% 複勝回収率140%
前走芝のレースを走っていた馬が、
ダート重賞(G3)に出走してきた場合、
前走G1かG2の格上レースに出走していた馬だけが通用する。
ということですね。
先ほどから例に出しているダイワキャグニーの場合、
3走前 毎日王冠(芝G2)4着
2走前 武蔵野S(ダG3)8着 ←←←
前走 京都金杯(芝G3)2着
今走 フェブラリーS(ダG1)15着
格下のレースにトラックチェンジした、
武蔵野Sで激走してもおかしくなったわけです。
まーでも、毎回このパターンで激走するわけではないので、
一応は押さえておくという感じで良いでしょう。
トラックチェンジは一発駆けがあるので取捨選択に迷いますが、
今回の法則を憶えておけば、取扱いに困らないと思います。
ぜひ参考にしてください。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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