『金鯱賞(GⅡ)2023プログノーシス血統考察』YRA

血統調査員のYRAです。
「血統表は競走馬の設計図!」ということで
今週は3月12日に開催された大阪杯の前哨戦、金鯱賞(中京芝2000m)を勝ったプログノーシスを取り上げます。
8枠12番プログノーシスはやや出負けから、後方3番手の外を追走。
3~4コーナーでポジションを少し押し上げながら直線へ。
一番外から追い出しを開始するとグングンと前を捉えていき、残り200mの地点で2番手まで浮上。
そのまま内で粘るフェーングロッテンをゴール前で3/4馬身交わして、ゴール板を駆け抜けた。
本馬はこれで5勝目。
重賞は3度目の挑戦で嬉しい初制覇となった。
プログノーシスの父ディープインパクトは現役時代、7つのG1を制した「日本近代競馬の結晶」と言われる歴史的名馬。
種牡馬としても2012年から2022年現在まで11年連続で種牡馬ランク首位。
競走馬としても種牡馬としても日本競馬の代表的存在。
(2019年7月30日逝去)
母ヴェルダはイギリス産馬で11戦2勝(海外)
繁殖としてデビュー済み産駒は7頭
父Orpen(1勝・海外)→父Orpen(4勝・海外イギリスG1・チヴァリーパークS)→父Dr Fong(1勝・海外)→父Redoute’s Choice(3勝)→父ディープインパクト(1勝)→父キングカメハメハ(地方4勝)→父ディープインパクト(本馬)
海外でも日本でも産駒は勝ち上がっており、2番仔はイギリスG1・チヴァリーパークS(芝6F)勝ち馬のVorda。
繁殖力は高いレベルにある。
血統背景は父Observatory(~Mr. Prospector~ネイティブダンサー系)×母父Mark of Esteem(~Mill Reef~Never Bend~ナスルーラ系)の組み合わせ。
3代母にはイタリアオークス、イタリア1000ギニー(共に当時G1)を勝ったVal d’Ericaがいる牝系。
母父Observatoryはアメリカ産馬で、クイーンエリザベスⅡ世S(イギリスG1・芝8F)とイスパーン賞(フランスG1・芝1850m)勝ち馬。
アメリカ産馬ながらヨーロッパのG1を制した血統的背景には、重厚なRobertoの血を内包している。
そのあたりが「ディープインパクト×米国血統」の早期完成のスタイルからは、ややズレる形となっており、ここまで着実な成長を遂げてきた。
5歳にしてまだ8戦。
一般的なディープインパクト産駒のそれとは違い、古馬でもまだまだフレッシュさがあることは好感で、この勢いそのままに今年のG1戦線でも暴れ回ってくれることを期待しても良さそうだ。
戦前のブログではこのレースに相性の良い種牡馬としてディープインパクトを、ポイントの血としてRobertoの血を紹介しました。
本稿で取り上げた優勝馬プログノーシスはこの2つに合致し、優勝。
血統の相性の良さを体現し、初重賞制覇を成し遂げました。
2着フェーングロッテンについては菊花賞の時から距離レンジは中距離にあるとし、前走中山金杯から引続き評価をしていました。
勝ち残るまで本当にあと一歩というところでしたが、これは開幕週ということで逃げの手が功を奏した面もあります。
ただし、この馬の場合は自在性があるので、今後も状況に応じたレースができる点は魅力で、大崩れしにくいタイプと言えるでしょう。
3着アラタについては血統的に可も無く不可も無くといった評価をしていました。
最内枠ということもあり、スタートから積極的に出していきましたね。
直線入り口ですぐに進路を確保できなかったことは痛かったですが、進路が開いてからはしっかりと伸びていましたし、力は示したと言えるでしょう。
この馬もこの自在性は大きな武器で、今後も大崩れはしなさそうです。
ということで勝ち馬プログノーシスはこのレースにぴったりな血統で、その通りの結果を出してくれました。
来年も「ディープインパクト」と「Roberto」には注目しておきましょう。
投稿者プロフィール

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血統の設計図から好走率を占う予想家
趣味の一口馬主が高じて牧場通いをするも「馬関係者でも走る馬はわからない」という結論に至る。そこから少しでも走る馬を見極めるために血統に没頭。血統から展開されるレース回顧は好評を得ている。
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