『グリーンウッドのトリセツと、社台の反撃開始!』高橋広治
こんにちは、高橋広治です。
よろしくお願いいたします。
今回は、社台系の西の外厩、グリーンウッドについて書いてみたいと思います。
グリーンウッドのある場所は、栗東トレセンやNFしがらきにも近い、滋賀県甲賀市という、のどかで静かな所。
馬房数は約200と、天栄・しがらきほどではありませんが、たくさんの馬を預託できます。
それとグリーンウッドは、山元トレセンのように社台専用の外厩という訳ではありません。
NF系はしがらきがあるので、NF系以外の社台グループ馬や、ダーレーJF系、また、多くの個人馬主所有馬や個人牧場生産馬も、関西馬であればこのグリーンウッドを使っております。
施設面では、栗東トレセン並みの坂路があり、また屋根付きです。
メイン馬場は1周1000mと並みですが、ポリトラックを使用。
ポリトラックとは、ゴムなどの合成樹脂を敷き詰めた人工の馬場で、雨が降っても馬場状態に影響をほとんど受けません。
屋根付きの坂路に、ポリトラック馬場ということで、グリーンウッドは、全天候型ということが言えるでしょう。
そんなグリーンウッド上がりの馬の成績がコチラです。
ちなみに集計期間は近3年間。
外厩 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
グ | 279- 253- 274-2425/3231 | 8.6% | 16.5% | 24.9% | 78 | 81 |
いかがでしょうか?
勝率、連対率、複勝率ともに、他の外厩上がりの平均と、ほぼ同じ値です。
単勝回収値もほぼ平均で、複勝回収値は若干平均より上といった所でしょうか?
特に他の外厩と比べて特別秀でている訳でもなく、かといって全然狙えない訳でもない、ザ・平均点の外厩。
ではここから、芝とダートで分けてみましょう。
馬場状態 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
芝 | 162- 139- 165-1314/1780 | 9.1% | 16.9% | 26.2% | 91 | 91 |
ダート | 117- 113- 109-1111/1450 | 8.1% | 15.9% | 23.4% | 63 | 69 |
しっかり傾向が分かれました。
グリーンウッド上がりの馬は芝狙いが良さそうですね。
これは同じ社台系の山元トレセンとは全く逆の傾向です。
前回、山元上がりはダートが狙い目とお伝えした所でしたので。
同じ社台系の外厩なのに、ここまで端的に差がつくものなのでしょうか?
原因は2つあると私は思います。
まず、NFしがらきは別としても、関西にはグリーンウッドの他にも、規模の大きい宇治田原Sや吉澤WESTがあります。
この2つの外厩は、芝よりダートの成績の方が良いので、ダート馬の育成が得意なのでしょう。
だとしたら、馬のタイプによって預託先を変えていると、私は思います。
もちろん、馬主にも調教師にも、贔屓にしている外厩はあると思いますので、全部が当てはまる訳ではないですが、芝馬ならGウッド、ダート馬なら吉澤Wor宇治田原Sというように、得手不得手で外厩先を変えていると思えば、この結果も頷けますね。
また、馬単体でも、吉澤Wで結果が出ない馬を、宇治田原Sに変えて調整したら勝っちゃった!ということもありますし、馬主の力があまり強くない個人馬主の馬では、調教師の判断で、結果を出す馬というのが少なくありません。
もちろん、馬主の力が絶対的なノーザンファーム系では考えられない話ですけどね。
また話が脱線しましたが、2つめの理由としては、単純に、ノーザンファーム系の有望な素質馬が、栗東ではなく美浦に預託される場合が増えたからだと思います。
これがどういう事かと申しますと、NFの素質馬は、もちろん圧倒的に芝馬。
関東でNF系の強い芝馬が増える=社台(山元)の馬の芝馬の成績が悪くなると言えます。
ですので、山元上がりはダートで成績が上がるというか、率直に言うと、ダートでしか成績を残せないという事です。
対して、NFの素質馬が関東に行くという事は、関西の芝馬のレベルが低くなるという事。
ですので、社台(Gウッド)の馬にも出番が回ってくると考える事ができます。
では、Gウッド上がりの芝馬の、クラス別の成績を見てみましょう。
クラス | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
新馬 | 22- 22- 23- 170/ 237 | 9.3% | 18.6% | 28.3% | 49 | 60 |
未勝利 | 38- 31- 34- 397/ 500 | 7.6% | 13.8% | 20.6% | 108 | 112 |
1勝 | 55- 44- 47- 351/ 497 | 11.1% | 19.9% | 29.4% | 102 | 84 |
2勝 | 18- 14- 25- 125/ 182 | 9.9% | 17.6% | 31.3% | 121 | 100 |
3勝 | 10- 14- 12- 83/ 119 | 8.4% | 20.2% | 30.3% | 51 | 90 |
OPEN他 | 8- 4- 5- 53/ 70 | 11.4% | 17.1% | 24.3% | 131 | 70 |
OPEN(L) | 2- 2- 3- 4/ 11 | 18.2% | 36.4% | 63.6% | 139 | 258 |
G3 | 6- 6- 13- 80/ 105 | 5.7% | 11.4% | 23.8% | 43 | 88 |
G2 | 3- 2- 3- 24/ 32 | 9.4% | 15.6% | 25.0% | 62 | 110 |
G1 | 0- 0- 0- 27/ 27 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0 | 0 |
社台系の馬は新馬戦が苦手というのは、前回山元トレセンの回で説明した通り。(Gウッドは厳密に言うと社台系ではありませんが・・・)
また、NF系の猛者が揃う重賞戦でも、とても太刀打ちできません。
ですので、未勝利戦からオープン特別までの成績をひとまとめにするとコチラ。
着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|
131- 109- 126-1013/1379 | 9.5% | 17.4% | 26.5% | 104 | 97 |
NF系の素質馬は、新馬で勝ち上がり、すぐ重賞クラスへ行ってしまうので、未勝利、条件戦、オープン特別を走ること自体、なかなかありません。
そんな鬼の居ぬ間に何とやら・・・では無いですが、そんな馬が走らないクラスの成績は、さすが業界第2位!と思わせるような数字ですね。
最後に、社台系のとっておき情報をお伝えしますね。
来年、2020年開業に向けて、滋賀県の西側、比良山の麓の方に、大規模な外厩(チャンピオンズヒルズ)を建設中との事。
馬房数は500を予定しているから桁違い!
坂路の勾配、屋根の有無など、今から気になることだらけですが、これまでノーザンファーム系に辛酸を舐めさせられ続けた社台ファームが、遂に本気になったという事でしょうか?
競馬界のことを思うと、2強の一角、社台に期待せずにはいられない反面、社台の、社台らしさというか、イケずな所も、逆に残してもらいたいと、一個人としては思ってもいます。
立派な坂路作りました!でも屋根はいらないでしょ、とかね。
どうか馬券購入の参考にして下さい。
今回も長くなりましたが、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
投稿者プロフィール
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データを駆使した戦略競馬の賢才
人と違う視点や切り口で競馬を分析することに長けている頭脳派。データ分析ソフト『TARGET』を使いこなして、周りがアッと驚く馬券術を生み出す。そのレベルは折り紙付きだ。
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