『競馬必勝法を作る必勝法をディープ産駒から読み解く』田中洋平
梅雨が終わり、全国的に夏がやって来そうな気配。
コロナと熱中症に気を付けましょう。
さてこの時期からポツポツと出始めるのが、
前走1番人気に推されながら、6着以下に敗れた馬。
それも道悪で。
瞬発力キレキレのディープインパクト産駒なんかが、
このパターンによく当てはまるイメージだと思います。
よく言われているのが、
競馬新聞やスポーツ新聞の記者がシルシを打つのは、
その週の木曜日くらい。
ここから新聞を編集して、印刷して、各地域に届けて、販売をする。
工程から逆算すると、
木曜日くらいにはシルシを決めてもらわないと間に合わない。
そのため新聞記者のシルシには、
枠順と天候からの馬場状態は考慮されていないと考えられます。
しかし当日の人気とオッズは、
競馬新聞やスポーツ新聞のシルシをベースに作られるので、
そこにギャップが生まれる。
馬券的においしいポイントが出現するわけですね。
ここを狙うプロもいると私は思います。
まーそれはさておき、
梅雨でバンバン雨が降っている季節でも、
基本は良馬場ベースで馬の強さを比べるのが、
通常の思考かと思います。
本命◎ → 良馬場で強い馬
対抗〇 → 良馬場で強い馬
単穴▲ → 道悪なら一発ありそうな馬
こんな感じですね。
例えば、今週末は70%の確率で雨が降りそう、
という予報になっていても、下記のようなシルシは打たないでしょう。
本命◎ → 道悪なら一発ありそうな馬
対抗〇 → 良馬場で強い馬
単穴▲ → 良馬場で強い馬
道悪なら一発ありそうな馬は、
能力が少し足りないけど馬場が味方したら一発、
というレベルの馬。
もし雨が降らなかったら、大ゴケするのは一目瞭然。
これを本命に持ってくるという決断は、
よほどの穴好き記者でなければ難しいのではないでしょうか。
普通のシルシを打つ記者は、冒険をしないはずです。
ということで、
ほとんどの記者は無難な「良馬場で強い馬」を本命に置きに来る。
イコール、
週末に雨が降って道悪になっても、
良馬場で強い馬が1番人気になってしまうというメカニズムですね。
だから雨が降って道悪になったなら、
1番人気で6着以下に惨敗しても仕方がない。
そして見た目の着順の悪さで
人気が落ちる次走が狙い目という仮説を立てることが出来ます。
実際にどうなのか?調べてみましょう。
ですが、その前に条件をひとつ。
ダートの場合、
ちょっとだけ雨が降ると砂が締まって走りやすくなります。
ダートの良馬場 → 砂浜のようで走りにくい
ダートの稍重 → 波打ち際のようで走りやすい
ダートの重・不良 → 田んぼのようにぬかるんで走りにくい
このように微妙な変化がある。
しかし芝の場合は良馬場が走りやすくて、
稍重、重、不良馬場は、馬場が重たくなって走りにくい。
と走りにくい程度の違いはあれど、
良馬場以外は走りにくくなるのが通常です。
そこでデータ分析を分かりやすくするために、
今回は「前走芝→今回芝」のみを対象としますね。
条件は以下の通り。
・前走芝で今回も芝のレース
・前走芝で稍重、重、不良
・前走1番人気
・前走6~18着
この条件を満たした馬の今走成績がこちら。
勝率17% 連対率31% 複勝率38%
単勝回収率87% 複勝回収率77%
単勝回収率が少し高いですが、いまひとつな成績です。
そこで1つ、前走のシチュエーションを考えてみましょう。
道悪が苦手な馬は、
脚がスベッてグリップが効かず、上手く走れないですよね。
踏み込もうとすると「ズルっ」と滑る感じでしょうか。
ということは、
ほとんどマトモに走れていないはず。
前走の4角の位置を確認してみましょう。
前走4コーナーのポジションが後ろだった馬ほど、
今回の好走率が高くなって、回収率も高くなっています。
つまり前走1番人気に推されながら、
4コーナーですでに後方に沈んでいた馬は、上手に走れていなかった。
そんな馬は、次走で巻き返しする可能性が高い。
というわけですね。
TARGETで必勝法を作るときは、
このように実際のレースシーンを想像して作りましょう。
TARGETのレース検索で、
回収率ばかりを追いかけて、悪い部分を切り捨てる。
自分に都合の良い理由をこじ付けて、
回収率の低い部分をチョキチョキしていくと、
たしかに回収率の高い部分だけが残ります。
でもこの手法で生み出された馬券術は、
再現しない可能性が高いので注意です。
「実際のレースシーンを想像してデータを絞っていく」
これが必勝を作る必勝法ではないかと思います。
ぜひ参考にしてください。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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