『芝のレースで32秒台の上がりを使った馬は強いのか?』田中洋平

9月16日の阪神9レースの野路菊Sで、
前走の新馬戦で上がり32秒6をマークしたワグネリアンが、
見事に勝利しました。
来年のダービー馬候補と言われている馬です。
上がりのタイムが速いと言っても、
前半のペースが極端に遅いケースもあるし、
馬場が異常に高速馬場になっている場合もあります。
だから、速い上がり=能力が高いとは言えない、
これが一般的な感覚ではないでしょうか。
ということで、
芝のレースで32秒9より速いが上がりを使った馬を、
TARGETで調べてみました。
期間は2014年から2017年8月末までですが、
新潟の直線1000mは、
上がり32秒台がバンバン出るので対象外。
そうすると期間内に該当した馬が426頭。
意外と多い印象ですが、競馬場別の内訳は、
札幌 0
函館 0
福島 0
新潟 187
東京 61
中山 14
中京 8
京都 117
阪神 37
小倉 2
という結果になりました。
やはり軽い芝の新潟と京都が多いですね。
次にまあまあ軽い東京が多いのも順当ではないかと思います。
そして洋芝で重たいといわれている札幌と函館、
そして重めの福島競馬場は、
見事にゼロと分かりやすいデータですね。
ということは、中山、中京、阪神、小倉の4競馬場で、
32秒9より速いが上がりを使った馬は、
かなり優秀なのではないか?と考えることができます。
実際に上記4場でマークした馬の次走を見てみましょう。
期間中の対象は61頭で、すでに次のレースを走っている馬が56頭。
そして成績は↓
勝率23% 連対率34% 複勝率52%
単勝回収率246% 複勝回収率120%
非凡な存在であるため該当数は少ないですが、
かなり素晴らしい成績と回収率です。
速い上がりが出にくい中山、中京、阪神、小倉で、
速い上がりを使える馬は、普通に強いということですね。
では次は、新潟、東京、中山、中京、京都、阪神、小倉、
すべての馬の次走成績を見てみましょう。
芝で速い上がりを使って、
次走でダートを使っている馬が9頭含まれますが、
勝率16% 連対率28% 複勝率39%
単勝回収率94% 複勝回収率88%
このようにまずまずの成績と回収率になります。
このデータを見ると、
「速い上がり=能力が高いとは言えない」
ということは無さそうですね。
「速い上がり=能力はそれなりに高い」
こちらが正解になりそうです。
ではここから、次走でナメられる条件をプラスしましょう。
それは前走で速い上がりを使ったが、
勝ち馬から0.3秒以上離されて負けている馬。
です。
「え?この馬の前走、上がり32秒9?」
「はやっ!」
「ん?でも0.5秒差の6着か…」
「これは高速馬場で、全体的に速かっただけっぽいな」
「2走前は34秒台だし、こりゃまぐれか?」
という心理になる馬ですね。
ではまとめます。
前走上がり32秒9より速い脚を使っていて、
勝ち馬から0.3秒以上離されて負けている馬。
(前走の競馬場は問わないが、新潟千直は除く)
勝率11% 連対率18% 複勝率27%
単勝回収率113% 複勝回収率92%
このように、ナメられるとプラス回収になります。
これらの考え方は32秒台に限らず、
33秒台でもイケそうな気がするので、ぜひ調べてみてください。
投稿者プロフィール

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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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