『キャロットファームの勝負服を着た内田博幸騎手に違和感!』田中洋平
3月5日(土)の中山1レース、
断然の1番人気に推されていたのは15番のスマイルオンミー。
前走同じコースで0.2秒差の2着と、
他の馬たちと比べると、実績は頭ひとつ抜けている印象。
単勝1.4倍に推されるのも分かる気がします。
私はこの馬の馬券を買っていたので注目していたのですが、
さすがは内田博幸騎手。
ロスのないコーナリングで、
4コーナーも内の馬にピタッと付けて回ってきます。
大ざっぱな騎乗の騎手だったら、
馬の勢いを抑えきれずに、外に膨らむところですけどね。
さすがは、ベテランの技術です。
このスマイルオンミーは、ここまま先頭に躍り出て押し切り。
危なげのないレースで完勝しています。
内田博幸騎手ナイス!と思ったのも束の間、
「ん?ノーザンの馬に乗ってるのって珍しいよな」と違和感。
スマイルオンミーの馬主はキャロットファームで、
競馬界のドン、ノーザンファーム系の一口馬主クラブです。
キャロットファームの馬と言えば、
横山武史騎手とのコンビで名を馳せているエフフォーリア。
川田将雅騎手とコンビを組んでいるレイパパレ。
ルメール騎手が主戦だったレイデオロなど、
活躍馬がキラ星の如く、たくさんいるクラブです。
正直、内田博幸騎手がキャロットファームの馬に
乗っているイメージは、ほんとんどありません。
それこそ大井から中央(JRA)に移籍してきた2008年ころは、
社台ファームやノーザンファームの馬に、けっこう乗っていた気がします。
◆社台ファーム馬
エイシンフラッシュ(ダービー・G1)
ザレマ(京成杯オータムハンデ・G3)
◆ノーザンファーム馬
オウケンブルースリ(菊花賞・G1)
デニムアンドルビー(ローズS・G2)
ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル・G1)
グランプリボス(スワンS・G2)
ムスカテール(目黒記念・G2)
ドナウブルー(関屋記念・G3)
こうやって改めて調べてみると、
内田博幸騎手は、キャロットファームの活躍馬に、
あまり乗ってないんですね。
オークスで2着だったピュアブリーゼに、
ちょこっと乗っていたくらい。
社台ファーム、ノーザンファーム生産馬でも、
クラブ馬ではなくて、個人馬主の馬への騎乗が多い気がします。
何かの番組で見ましたが、
武豊騎手と冗談を言い合っている姿を見ると、
人付き合いが上手なのかもしれませんね。
そんな内田博幸騎手は2008年から2013年まで、
年間100勝を超えていましたが、
そこから徐々に勝ち鞍が減って、昨年は39勝でした。
全盛期は騎乗馬平均が4.0番人気くらいでしたが、
昨年は8.5番人気と、馬質がかなり落ちているのも原因ですね。
今年で51歳なので年齢的な部分もあると思いますが、
どこか内田博幸騎手の狙い目がないか?調べてみました。
検証期間2020~2021年末の2年間。
勝率5% 連対率11% 複勝率16%
単勝回収率95% 複勝回収率71%
これが2年間の成績ですが、単勝回収率は高レベルですね。
◆芝
勝率5% 連対率9% 複勝率14%
単勝回収率94% 複勝回収率70%
◆ダート
勝率5% 連対率12% 複勝率18%
単勝回収率95% 複勝回収率73%
芝、ダートに分けると、複勝率はダートの方が優秀。
地方競馬出身のジョッキーというのもあるでしょうけど、
ダートの方が騎乗馬の質が高いから、好成績になっているようです。
そして地方競馬出身と言えば、馬を動かせるイメージ。
ズブい馬をグイグイと押している感じですよね。
ということで、芝の場合は重、不良馬場、
ダートの場合は良馬場と不良馬場の成績を抜き出してみましょう。
◆芝(重・不良)
勝率9% 連対率12% 複勝率24%
単勝回収率312% 複勝回収率173%
◆ダート(良)
勝率6% 連対率13% 複勝率18%
単勝回収率128% 複勝回収率75%
◆ダート(不良)
勝率10% 連対率20% 複勝率30%
単勝回収率112% 複勝回収率106%
やはりパワーが必要な馬場の成績は、すごいですね。
なんでダートは良馬場の方が、パワーが必要なの?
というビギナーさんのために解説しておきましょう。
まず馬場の悪化状態は、以下の通り。
良 → 稍重(ややおも)→ 重 → 不良
この順番です。
では砂浜をイメージしてください。
パサパサに乾いた砂浜は、砂に足を取られて走りにくい。
でも波打ち際の湿った部分は、砂が締まって堅いので走りやすい。
乾いた砂浜(良馬場)
湿った砂浜(稍重、重)
そしてダートの不良馬場は水が浮いているような状態なので、
極端な表現をすると、田んぼの中を走るイメージ。
これも走りにくいですよね。
だからダートは、良馬場と不良馬場がパワーが必要なのです。
反対に、軽く湿ったダートはパンパンで走りやすい。
体重の軽い馬や非力な牝馬が、
急に突き抜けることがある馬場状態なので、覚えておきましょう。
芝の場合はイメージそのままで、
雨が降るとぬかるむので、降れば降るほど走りにくい。
重馬場、不良馬場になると、パワーを必要とします。
馬を動かすことのできる内田博幸騎手は、
パワーが必要な馬場で買え!とういうことですね。
あとは大型馬も得意です。
◆馬体重500kg以上
勝率7% 連対率14% 複勝率20%
単勝回収率125% 複勝回収率84%
◆馬体重499kg以下
勝率5% 連対率9% 複勝率15%
単勝回収率84% 複勝回収率67%
このように一目瞭然の違いですね。
馬質と騎乗回数は落ちていますが、
まだまだ剛腕は衰えてないという証明になったと思います。
ゴールドシップのコンビで一時代を築いた騎手ですから、
良い馬に巡り合って、もうひと花咲かせてほしいですね。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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