『調教師はなぜ好走率の低い連闘策を採用するのか?』田中洋平
毎週レースをみていると、
連闘で出走している馬を見かけます。
連闘とは、
前走から間隔0週で出走している馬。
前の日曜日に出走して、
また次の日曜日のレースに出走しているような馬です。
レース出走のために仕上げることは、
馬にとって結構な負担だと思いますし、
レースで走ることも、大きな負担になると思います。
「ハァー、やっと終わった」
と、ひと息ついたのに、
「今週も走るんかーいっ!」という気持ちでしょう。
きっと。
実際、連闘する馬の成績は
ゆっくりレース間隔をあけてる馬に比べて、
良くありません。
連闘 4.7%
2週 6.5%
3週 8.4%
4週 8.2%
5~9週 7.7%
10週以上 6.7%
これは前走との間隔別の勝率。
前走から3~4週の間隔で、
次のレースに出走する馬の勝率が一番よいですね。
それに比べて、
前走から間隔0週、連闘の馬の勝率がもっとも悪くなっています。
やはり疲れも残っているでしょうし、
前走でそれなりに仕上がっているわけですから、
パフォーマンスが低下するのは誰が見ても明らか。
TARGETで調べれば、
我々のような馬券を買う側ですら分かることなので、
調教師さんも連闘が良くないことは知っているはずです。
ではなぜ好走率の低い連闘策を、
調教師は採用するのか?
こんな疑問がわいてきますよね。
まず連闘策の馬の成績がこちら。
勝率5% 連対率11% 複勝率17%
単勝回収率70% 複勝回収率71%
成績面も回収率面も、とくに良いわけではない。
うーん、なぞですね…
そこで連闘する理由をネットで調べてみると、
このようなことを書いているサイトありました。
「翌週に有名な一流騎手が空いていると依頼したくなる」
本当は間隔を空けて使うつもりだったけど、
ルメール騎手や川田将雅騎手のような勝利請負人が空いていたら、
連闘でも騎乗してもらう。
という調教師の意図から、連闘策を採用する。
◆ルメール騎手(2023年1位)
勝率30% 連対率50% 複勝率70%
単勝回収率68% 複勝回収率163%
◆川田将雅騎手(2023年2位)
勝率22% 連対率56% 複勝率56%
単勝回収率32% 複勝回収率93%
◆横山武史騎手(2023年3位)
勝率26% 連対率48% 複勝率52%
単勝回収率176% 複勝回収率103%
◆松山弘平騎手(2023年4位)
勝率7% 連対率24% 複勝率33%
単勝回収率28% 複勝回収率75%
◆岩田望来騎手(2023年5位)
勝率11% 連対率28% 複勝率50%
単勝回収率38% 複勝回収率205%
2023年のリーディング以上5人の成績です。
条件は連闘で、乗り替わりのケース。
松山弘平騎手以外は、
複勝回収率が高いので、あながち間違ってはないのかもしれません。
ですが、
もうひとつ腑に落ちない感じもします。
そこであれこれ考えながらTARGETで
連闘馬のデータを見ていると、
あることに気が付きました。
それは「馬場状態」です。
◆芝(前走稍重、重、不良→今回良馬場)
勝率7% 連対率16% 複勝率25%
単勝回収率111% 複勝回収率80%
◆ダート(前走稍重、重、不良→今回良馬場)
勝率5% 連対率12% 複勝率20%
単勝回収率101% 複勝回収率88%
芝、ダートともに、
前走が稍重、重、不良と馬場が悪かった状態から、
今回良馬場を走れた場合は、回収率が100%を超えます。
つまり目標にして仕上げてきたレースだが、
週末に雨が降って、馬場が荒れてしまった。
良馬場の想定だったので、
レースに出走した馬も能力を発揮できずに敗戦。
「どうやら、今週末は晴れっぽいぞ!」
馬もそこまでダメージが無さそうだし、
調子もそこそこキープしているから、
いまのうちに連闘で出走させよう!
と考える調教師もいるということでしょう。
さすがに天気を操ることはできないので、
連闘という苦肉の策を取るのかもしれません。
前走、馬場状態の悪いレースに出走していた連闘馬に、
注目してみましょう。
ぜひ参考にしてください。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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