『データ競馬予想をするなら7歳馬の馬券は買うべからず!』田中洋平
5月4日(土)の東京競馬場の10~12レースは、
天候不良(ひょう)によって競走が中止になる予想外のアクシデント。
日本時間5月5日(日)の午前に行われたケンタッキーダービーでは、
1着入線のマキシマムセキュリティが、斜行で17着に降着という事件が起きました。
そして極めつけは、5月5日(日)のNHKマイルCで、
1番人気に推されていたグランアレグリアが、
ダノンチェイサーの進路を妨害として4着から5着に降着。
騎乗していたルメール騎手は、
5月11~26日までの開催日6日間の騎乗停止処分で、
ダービーのサートゥルナーリアに騎乗できない事態に。
そんな事件多発の週末で私が注目したのは、
NHKマイルCのひとつ前、ブリリアントステークスです。
このレースの1番人気は、ルメール騎手が騎乗するアングライフェン。
2走前にアルデバランステークスを制していて、
前走の仁川ステークスは、馬群に包まれるもこじ開けて0.3秒差の3着。
追い出しが遅れたロスがあった分、
人気薄の先行馬にまんまと先着された格好です。
まぁ普通に追えていれば、しっかり突き抜けていたはずで、
これほどの実績であれば今回の1番人気も納得の評価。
しかし私はこの馬の馬券を買いたくありません。
その理由は、7歳と高齢だから。
競走馬は2歳のデビューからどんどん成長して、
5歳前半あたりに能力のピークを迎える、
そこからあとは下降というのが一般的です。
もちろん中には4歳がピークという早熟馬や、
6歳が成長のピークという晩成の馬もいるでしょうけど、
一般的には5歳前半がピークです。
それを証明するために、
昨日行われたブリリアントステークスと同じ、
4歳以上のオープンクラス(リステッド、G1、G2、G3を含む)の
年齢別の成績をご覧ください。
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
4歳 | 133- 121- 91- 968/1313 | 10.1% | 19.3% | 26.3% | 78 | 68 |
5歳 | 171- 134- 146-1094/1545 | 11.1% | 19.7% | 29.2% | 92 | 97 |
6歳 | 114- 136- 122-1544/1916 | 5.9% | 13.0% | 19.4% | 63 | 81 |
7歳 | 59- 75- 84-1227/1445 | 4.1% | 9.3% | 15.1% | 65 | 68 |
8歳 | 25- 35- 47- 624/ 731 | 3.4% | 8.2% | 14.6% | 41 | 63 |
ピークは5歳の勝率11%で、6歳から一気に下降しますよね。
アングライフェンが該当する7歳馬は、勝率が4%しかありません。
データ競馬予想者であれば、
効率の悪い高齢馬の馬券は買わないのが正解です。
「でもアングライフェンみたいに人気になる馬は、ひと味違うだろうよ!」
という声がありそうなので、お答えしましょう。
年齢 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単回値 | 複回値 |
---|---|---|---|---|---|---|
4歳 | 109- 69- 47- 244/ 469 | 23.2% | 38.0% | 48.0% | 90 | 79 |
5歳 | 102- 79- 57- 258/ 496 | 20.6% | 36.5% | 48.0% | 82 | 78 |
6歳 | 60- 45- 41- 180/ 326 | 18.4% | 32.2% | 44.8% | 70 | 76 |
7歳 | 25- 21- 23- 80/ 149 | 16.8% | 30.9% | 46.3% | 61 | 76 |
8歳 | 13- 9- 13- 26/ 61 | 21.3% | 36.1% | 57.4% | 50 | 80 |
上記は4歳以上のオープンクラスの1~3番人気の成績を、
年齢別に分けた成績です。
ここでは4歳馬の勝率が一番ですが、5歳馬も複勝率は同等で悪くはありません。
そして予定通り、6歳以降は成績が下降線を辿りますよね。
人気サイドでも、高齢馬はパフォーマンスが一段落ちる。
これを忘れないようにしましょう。
次に単勝回収率に注目して欲しいのですが、
4歳馬はまだキャリアが浅いためか、
4歳以上のオープンクラスでは軽視されてオッズが甘くなります。
しかし競馬ファンの思惑以上に、4歳馬は強いので単勝回収率が高い。
反対に6歳以上の高齢馬は、
ベテランで強そうと見せかけて、意外と勝てなくて単勝回収率が低い。
ということがデータに表れていますね。
データを使って予想するということは、
効率が悪いものには、一切投資しないというスタンスが、
私は正解だと考えています。
ところが「この7歳馬は他とはスケールが違うから軸にしよう!」とか、
「この馬の種牡馬は晩成タイプだから例外だ!」などと人間の裁量をいれて、
取捨選択をしてしまったら、普通に予想しているのと変わらないですからね。
効率が悪いから買わないと自分で決めたパターンは、
見向きもしないでバッサリ切るのが、データ競馬予想の神髄でしょう。
あなたはブレていないか?
もう一度、再確認してみることをオススメします。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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