『第3勢力としてモーリスとエピファネイアが台頭中!』田中洋平

 

今年の2歳馬が6月にデビューしたので、

10月が終わってちょうど丸5ヶ月。

 

そろそろデータ面も落ち着いたと思うので、考察してみたいと思います。

 

まず2歳馬データを簡潔にするために、芝のみに限定。

 

種牡馬なので当然芝向き、ダート向きがありますが、

やはり注目されるのは、クラシックの行われる芝のレースでしょうからね。

 

◆2020年2歳馬成績

種牡馬 着別度数 勝率 連対率 複勝率
ディープインパクト 17- 12- 8- 38/ 75 22.7% 38.7% 49.3%
ドゥラメンテ 17- 8- 9- 74/108 15.7% 23.1% 31.5%
モーリス 16- 24- 9- 76/125 12.8% 32.0% 39.2%
エピファネイア 16- 12- 18- 83/129 12.4% 21.7% 35.7%
キズナ 11- 12- 16- 93/132 8.3% 17.4% 29.5%
ハービンジャー 11- 7- 5- 48/ 71 15.5% 25.4% 32.4%
ロードカナロア 10- 7- 5- 66/ 88 11.4% 19.3% 25.0%
キングカメハメハ 8- 3- 5- 21/ 37 21.6% 29.7% 43.2%
ハーツクライ 7- 13- 7- 43/ 70 10.0% 28.6% 38.6%
リオンディーズ 7- 9- 9- 58/ 83 8.4% 19.3% 30.1%
リーチザクラウン 7- 6- 1- 44/ 58 12.1% 22.4% 24.1%
ダイワメジャー 7- 5- 7- 65/ 84 8.3% 14.3% 22.6%
ゴールドシップ 7- 5- 6- 59/ 77 9.1% 15.6% 23.4%
ルーラーシップ 6- 4- 13- 68/ 91 6.6% 11.0% 25.3%
マクフィ 5- 4- 10- 45/ 64 7.8% 14.1% 29.7%

 

 

絶対王者だったディープインパクトは置いておいて、

やはり注目しておきたいのは新種牡馬のモーリスとドゥラメンテの2頭。

 

6~7月あたりは勝ち切れなかったり、

期待の注目馬が負けたこともあり

「この2頭は失敗かもしれない」みたいな空気がありましたよね。

 

ところが、デビューから5ヶ月経って母数が揃うと、

ディープインパクトに次ぐ勝ち星を挙げている。

 

もちろん質の高い繁殖牝馬に種付けされているので、

勝負は質が落ち着く3~4年目の産駒になるとは思います。

 

それでも初年度からしっかり結果を出しているのは、

凄いことでしょう。

 

勝ち星ではドゥラメンテの方が多いですが、

複勝率に目をやると、モーリスの方が圧倒的に勝っている。

 

これは良い兆しですね。

 

ディープインパクトを擁するサンデーサイレンス系と、

キングカメハメハのミスタープロスペクター系の2大系統が、

ここ10年ほど競馬界を牛耳ってきた。

 

そのため、みんな「親族」のような血の飽和が起きそう。

 

という話題は聞いたことがあるでしょう。

 

そこへきて、最近は影が薄くなっていたロベルト系が再浮上。

 

ロベルト系と言えばリアルシャダイにブライアンタイムズ。

 

リアルシャダイ産駒はミホノブルボンの三冠制覇の阻止と、

メジロマックィーンの天皇賞春3連覇を阻止した

刺客ライスシャワーが有名。

 

またダビスタで長距離G1を正攻法で獲ろうと思ったら、

リアルシャダイに頼るしかない、という記憶があります。

 

あとブライアンタイムズは、

三冠馬ナリタブライアンにG1を4勝したマヤノトップガン。

 

あとはダービーを制したタニノギムレットも、

ナリタブライアン産駒でしたね。

 

ただこの2つの流れはあまり発展せず、

外国馬として輸入されたグラスワンダーと、

シンボリクリスエスが、ここにきて再浮上したきた流れです。

 

グラスワンダーは、

スクリーンヒーロー、アーネストリー、セイウンワンダーを輩出。

 

そのスクリーンヒーロー産駒のエースが、今回注目しているモーリスですよね。

 

そしてもう一方の流れであるシンボリクリスエスは、

サクセスブロッケン、ストロングリターン、エピファネイア、

最近であればダート界の寵児であるルヴァンスレーヴも産駒。

 

この中で大健闘しているのがエピファネイアでしょう。

 

現時点でモーリスに並ぶ16勝を挙げていて、

複勝率はモーリスには劣るものの、ドゥラメンテよりは上。

 

そして何より種牡馬エピファネイアの価値を爆上げしたのは、

無敗の三冠牝馬であるデアリングタクトですよね。

 

あと菊花賞でコントレイルの2着だった

アリストテレスもエピファネイア産駒ですし。

 

種牡馬として大成功しているといって良いでしょう。

 

つまり血が飽和しつつある、

サンデーサイレンス系とミスプロ系の優秀な繁殖牝馬に、

ガシガシ種付けできるのが、ロベルト系のこの2頭というわけ。

 

モーリスもエピファネイアも、

母方にサンデーサイレンスの血が入っているけど、

おじいちゃんの代で血が薄まっているから、あまり心配する必要はない。

 

一方、ドゥラメンテは、

父親がキングカメハメハで、母父がサンデーサイレンス。

 

近代日本競馬の結晶のような血統なので、種付けする相手を選ぶ感は否めませんよね。

 

あと注目なのは、

データの一番下(15位)のマクフィ。

 

知らなかったので調べてみると、

イギリスのクラシック三冠の第1冠となる2000ギニーステークスを制覇。

 

しかも鞍上はクリストフ・ルメール騎手という巡り合わせ。

 

日本の皐月賞は、この英2000ギニーを参考にしているそうです。

 

あとは日本のタイキシャトルが制した、

ジャック・ル・マロワ賞を勝っていて、マクフィは海外G1を2勝している馬。

 

系統はミスプロ系ですが、

ミスプロ→シーキングザゴールド

→ドバイミレニアム→ドバウィ→マクフィと、キンカメとは違う流れ。

 

短距離に適性がありそうな気配なので、

ノーザン系の主力種牡馬の守備範囲とも被らないですし、

今後、躍進が見られるかもしれませんね。

 

マクフィは今後、注目してみたいと思います。

 

なんにせよ、ブエナビスタとモーリスの子供、

ブエナベントゥーラが2戦目で無事に勝ち勝ち上がり。

 

関係者もひと安心でしょう。

 

10月末のレースを観戦していて、

私も何故か「よかった」と安心んしてしまいました。

 

何となくではありますが、

キンカメの系統はドゥラメンテが継承。

 

サンデー、ディープの系統はキズナが、

第3勢力としてロベルト系のモーリス、エピファネイアが台頭。

しばらくはこんな感じで進んでいく感じもします。

 

勢力図が変わる面白い時期なので、今後も注目ですね。

 

 

投稿者プロフィール

田中洋平
田中洋平
田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。

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