『チャンピオンズC完勝のテーオーケインズが10年に1度の逸材である理由』田中洋平
2021年のチャンピオンズカップは、
1番人気に推されたテーオーケインズが、
2着のチュウワウィザードに6馬身差をつける完勝。
ダート界の世代交代を思わせる、かなり強い競馬でしたね。
しかもテーオーケインズは、
先行馬の1つ後ろ、5~6番手から速い上がりで抜け出すタイプ。
極端な脚質が多いダート界ですが、
テーオーケインズタイプの脚質が、1番安定して強いのではないかと思わせます。
◆前から粘り込みたいタイプ
インティ
オーヴェルニュ
スワーヴアラミス
クリンチャー
カジノフォンテン
サンライズホープ
ダノンファラオ
◆直線一気にかけるタイプ
サンライズノヴァ
メイショウハリオ
前から粘り込みたいタイプは、
スタートで後手を踏んだり、外枠でポジション争いに敗れたら大ピンチ。
反対に直線一気にかけるタイプは、
前残りの展開になったら、出番なしで大ピンチ。
でもテーオーケインズのようにスタートが速くて、
終いの脚も使えるタイプは、
展開は関係ないし、性格的なモロさもなさそうなイメージ。
さらにテーオーケインズがすごいのが、その着差。
今回は2着のチュウワウィザードに1.0秒差でした。
これがどれくらいスゴイのか?
ジャパンカップダートから、
チャンピオンズカップに変更になった2014年から見比べてみましょう。
◆チャンピオンズカップ
14年 ホッコータルマエ(0.1秒)
15年 サンビスタ(0.2秒)
16年 サウンドトゥルー(0.0秒)
17年 ゴールドドリーム(0.0秒)
18年 ルヴァンスレーヴ(0.4秒)
19年 クリソベリル(0.0秒)
20年 チュウワウィザード(0.4秒)
21年 テーオーケインズ(1.0秒)
JRAのG1なので、
レベルの高い馬たちが、ギリギリの攻防の末に勝利を掴み取る。
だから僅差の競馬が多いわけです。
テーオーケインズの1.0秒差が、破格であることが分かると思います。
ではさらに、もう1つのダートG1である、
フェブラリーSのほうも見てみましょう。
◆フェブラリーS
12年 テスタマッタ(0.3秒)
13年 グレープブランデー(0.1秒)
14年 コパノリッキー(0.1秒)
15年 コパノリッキー(0.1秒)
16年 モーニン(0.2秒)
17年 ゴールドドリーム(0.0秒)
18年 ノンコノユメ(0.0秒)
19年 インティ(0.0秒)
20年 モズアスコット(0.4秒)
21年 カフェファラオ(0.1秒)
こちらも2着馬を大きく引き離して勝利している馬はなし。
MAX0.4秒差、
2馬身~2馬身半差くらいが精いっぱいの範囲です。
つまり今回のテーオーケインズの勝ち方は、
10年に1度の逸材である可能性が高いと言えるでしょう。
と、ここまで書いて、
せっかくなのでチャンピオンズカップの前身、
ジャパンカップダートの勝ち馬についても、調べてみようと思いました。
◆ジャパンカップダート
11年 トランセンド(0.0秒)
12年 ニホンピロアワーズ(0.6秒)
13年 ベルシャザール(0.3秒)
なんと!
ニホンピロアワーズが3馬身半差で、
ジャパンカップダートを勝利しています。
酒井学騎手が初めてG1を勝ったレースですね。
勝利ジョッキーインタビューが、
酒井学騎手の人柄の良さがにじみ出ていた感じで、
私の中で、すごい記憶に残っています。
まーそれは置いておいて、
今回のテーオーケインズの勝ち方はスゲーっ!ということが、
これでお分かりいただけたと思います。
ではスゴさの証明をもうひとつ。
2019年から2021年の3年間、
ダート重賞は44レースありました。
そのうち、2着に1秒差以上つけて勝った馬は2頭だけ。
2021年 平安S オーヴェルニュ(1.0秒差)
2021年 チャンピオンズC テーオーケインズ(1.0秒差)
少なっ!
なので、もうちょっと範囲を拡げてみましょう。
2着に0.6秒~0.9秒差をつけて勝った馬。
2020年 ユニコーンS カフェファラオ(0.8秒差)
さらに少なっ!
ではその他の着差に該当する頭数です。
0.5秒差 → 2頭
0.4秒差 → 5頭
0.3秒差 → 7頭
0.2秒差 → 5頭
0.1秒差 → 12頭
0.0秒差 → 10頭
テーオーケインズの凄さが、
さらにお分かりいただけたでしょう。
ですが、最後にもうひとつ。
芝とダートでは着差の価値が違いますが、
過去10年の芝G1で、2着馬に1秒差以上つけて勝った馬はこの2頭。
2013年 有馬記念 オルフェーヴル(1.3秒差)
2020年 宝塚記念 クロノジェネシス(1.0秒差)
芝のレースの方が怪物が多いイメージですが、
たったの2頭しかいないんですよね。
オルフェーヴルがG1を6勝、
クロノジェネシスがG1を4勝してますからね。
テーオーケインズは、まだまだG1を勝てるんじゃないでしょうか。
先々が楽しみです。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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