『障害戦の予想方法をデータ面から分析する』田中洋平

 

馬券は競馬ファン同士の戦いなので、

相手が弱いフィールドで戦う方が勝ちやすい。

 

これが鉄則です。

 

例えば、下記の2種類のレースをご覧ください。

 

2019年 1月 6日(日) 1回中山2日目 16頭 [12:15発走]
【5R】 
3歳・未勝利(馬齢)(混)[指定] 芝2000m (C)

馬名S 性齢 替 騎手 前走場コース 前走レース名 前走着
1 1 サトノミレニアム 牡3 *ブロンデ 中・T18 新馬 4
1 2 ブラックワンダー 牡3 大野拓弥 中・T20 未勝利* 5
2 3 クレーリッチェ 牝3 丹内祐次 東・T18 未勝利* 7
2 4 マイネルステレール 牡3 野中悠太 中・T20 未勝利* 3
3 5 サクララージャン 牡3 *勝浦正樹 東・T18 未勝利* 5
3 6 パワポケチャラット 牡3 *三浦皇成 中・T20 未勝利* 3
4 7 イサク 牡3 *ミナリク 東・T20 未勝利* 2
4 8 セイカアミダイケ 牝3 *田中勝春 東・T14 未勝利* 7
5 9 マイネルミュトス 牡3 柴田大知 中・T20 未勝利* 2
5 10 レトルダムール 牡3 *北村宏司 中・T20 未勝利* 10
6 11 レッドクーゲル 牡3 *田辺裕信 名・T20 新馬 2
6 12 グロオルロージュ 牡3 *内田博幸 中・T18 新馬 3
7 13 サトノフォース 牡3 *木幡育也 中・T18 新馬 2
7 14 モッズストーン 牡3 *マーフィ 東・T18 新馬 2
8 15 スマイルワールド 牝3 蛯名正義 中・T16 新馬・牝 3
8 16 ショウナンアオゾラ 牡3 *岩田康誠 中・T18 新馬 5

 

 

2019年 2月16日(土) 1回小倉3日目 16頭 [12:10発走]
【5R】 
3歳・未勝利(馬齢)[指定] 芝1800m (A)

馬名S 性齢 替 騎手 前走場コース 前走レース名 前走着
1 1 ワイルドオーキッド 牝3 丹内祐次 中・D18 未勝利 13
1 2 ヴィクトワールメイ 牝3 *丸田恭介 京・D14 未勝利 13
2 3 メイショウヤワラギ 牝3 *藤岡康太 阪・D14 未勝利・牝* 9
2 4 アナザードリーム 牡3 *菱田裕二 名・T14 未勝利 14
3 5 ピースフルサンデー 牡3 *森裕太朗 京・T16 新馬 8
3 6 トーセンワンピース 牝3 *中井裕二 中・T18 未勝利* 11
4 7 ノアトレジャー 牝3 *嶋田純次 東・D13 未勝利 15
4 8 サマーセント 牝3 *吉田隼人 京・T18 新馬 9
5 9 テイエムクロムシャ 牡3 *松若風馬 京・T18 未勝利 5
5 10 ラプタス 牡3 *幸英明 阪・T16 未勝利* 15
6 11 ドリームウィング 牝3 *古川吉洋 京・T16 未勝利* 7
6 12 マーガレットリバー 牡3 *川又賢治 京・T16 未勝利 9
7 13 バロンキング 牡3 藤田菜七 名・T16 未勝利 10
7 14 リトルグッド 牝3 *木幡初也 中・D12 未勝利 13
8 15 ワラウウマザンマイ 牡3 *西田雄一 京・D12 未勝利* 13
8 16 リトミカメンテ 牝3 *西村淳也 名・D18 新馬 9

 

 

もしあなたが未勝利馬だったら、どちらのレースに参加したいですか?

 

1つ目は出走16頭のうち、前走2~3着だった馬が9頭もいる修羅場レース。

 

反対に2つ目は、前走馬券圏内に入った馬が1頭もいない超手薄なレースです。

 

どう考えても、2つ目のレースに参加したい人が多いはず。

 

なぜなら相手が弱いので、自分が勝てる可能性が高いですからね。

 

もうお分かりだと思いますが、馬券もこれと同じで、

弱い相手が多い場所で勝負した方が、勝率は高くなるでしょう。

 

そこで私がオススメするのが障害戦です。

 

障害戦は1日1~2レースしかないので、

軽視している人が多いフィールド。

 

また競馬場で叫んでいるアナログ予想ファンの参加が多く、

データを駆使した予想家が少ないイメージですね。

 

つまり相手が弱いフィールドなので、

勝てるパータンを見つけやすいと、考えることができます。

 

そこで今日は障害騎手をデータ分析してみましょう。

 

騎手 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
石神深一 37- 31- 28-173/269 13.8% 25.3% 35.7% 79 78
平沢健治 32- 28- 22-117/199 16.1% 30.2% 41.2% 148 113
熊沢重文 31- 19- 16-147/213 14.6% 23.5% 31.0% 88 71
五十嵐雄 30- 26- 25-212/293 10.2% 19.1% 27.6% 63 84
植野貴也 23- 14- 31-161/229 10.0% 16.2% 29.7% 145 113
森一馬 21- 17- 15-100/153 13.7% 24.8% 34.6% 123 99
高田潤 19- 14- 13- 66/112 17.0% 29.5% 41.1% 60 67
北沢伸也 17- 27- 20-103/167 10.2% 26.3% 38.3% 96 103
山本康志 14- 15- 13-202/244 5.7% 11.9% 17.2% 64 75
林満明 13- 14- 6- 70/103 12.6% 26.2% 32.0% 89 72
金子光希 13- 12- 12-139/176 7.4% 14.2% 21.0% 133 76
白浜雄造 12- 19- 13- 89/133 9.0% 23.3% 33.1% 36 62
浜野谷憲 12- 14- 11-149/186 6.5% 14.0% 19.9% 95 64
西谷誠 12- 7- 13- 80/112 10.7% 17.0% 28.6% 87 64
難波剛健 11- 8- 13-140/172 6.4% 11.0% 18.6% 51 52
佐久間寛 10- 12- 14-101/137 7.3% 16.1% 26.3% 71 102
小坂忠士 9- 10- 11-111/141 6.4% 13.5% 21.3% 23 50
中村将之 8- 14- 15-120/157 5.1% 14.0% 23.6% 68 87
上野翔 8- 12- 14-180/214 3.7% 9.3% 15.9% 37 71
小野寺祐 8- 10- 12-132/162 4.9% 11.1% 18.5% 81 72
草野太郎 7- 18- 12-205/242 2.9% 10.3% 15.3% 15 68
大江原圭 7- 10- 13-142/172 4.1% 9.9% 17.4% 123 94
蓑島靖典 6- 9- 3-131/149 4.0% 10.1% 12.1% 67 90
鈴木慶太 4- 2- 3- 39/ 48 8.3% 12.5% 18.8% 169 83
田村太雅 3- 5- 6- 80/ 94 3.2% 8.5% 14.9% 47 47
江田勇亮 3- 4- 15- 69/ 91 3.3% 7.7% 24.2% 31 124
黒岩悠 3- 1- 4- 83/ 91 3.3% 4.4% 8.8% 18 22
大庭和弥 3- 0- 4- 59/ 66 4.5% 4.5% 10.6% 33 32
原田和真 2- 5- 1- 25/ 33 6.1% 21.2% 24.2% 34 100
高野和馬 2- 3- 2-134/141 1.4% 3.5% 5.0% 84 28
伊藤工真 0- 0- 0- 7/ 7 0.0% 0.0% 0.0% 0 0

集計期間:2016. 1. 9 ~ 2018.12.23

 

2016~2018年の障害騎手別のデータですが、

この3年間に行われたのは380レース。

 

そこで注目して欲しいのが騎手の勝利数で、

1位の石神深一騎手から、7位の高田潤騎手までで193勝しています。

 

31人いる騎手のトップ7人で、

全体の51%を勝利していることになりますよね。

 

平地のルメール騎手やデムーロ騎手、

またはモレイラ騎手のような外人旋風に比べるとマシではありますが、

障害戦でも富の上位独占が起こっているわけです。

 

つまり2019年以降も、

先ほどのトップ7人に注目してれば、単勝の半分は当たる計算になります。

 

もちろんこれから勢力図の塗り替えはあると思うので、

その辺りは1年単位でメンテナンスすれば良いでしょう。

 

騎手の引退もありますし、

永久に固定の理論が通用するほど競馬は甘くないですからね。

 

では障害トップ7の騎手を、競馬場別に精査してみましょう。

 

 

騎手:石神深一

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 6- 6- 6- 19/ 37 16.2% 32.4% 48.6% 50 86
新潟 4- 7- 6- 30/ 47 8.5% 23.4% 36.2% 52 81
東京 6- 2- 2- 14/ 24 25.0% 33.3% 41.7% 59 65
中山 7- 5- 2- 7/ 21 33.3% 57.1% 66.7% 117 117
中京 7- 7- 2- 23/ 39 17.9% 35.9% 41.0% 127 78
京都 3- 0- 3- 11/ 17 17.6% 17.6% 35.3% 138 66
阪神 2- 0- 2- 8/ 12 16.7% 16.7% 33.3% 26 65
小倉 0- 1- 1- 4/ 6 0.0% 16.7% 33.3% 0 60

 

 

まず前提条件として、

データのブレを防ぐために1~7番人気の馬だけにしています。

 

レースで勝ち負けできるチャンスがある馬に騎乗した場合に、

各競馬場でどのような成績を残しているか?を見ていく意図です。

 

また石神深一騎手の場合は、無敵状態のオジュウチョウサンのデータの排除。

 

馬が強すぎて、騎手の腕が分からないですからね。

 

これらを踏まえて石神深一騎手の競馬場別の成績を見てみると、

得意なのは中山競馬場で、あとは特別苦手なコースはない感じですね。

 

 

騎手:平沢健治

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 0- 3- 3- 8/ 14 0.0% 21.4% 42.9% 0 113
新潟 9- 6- 2- 21/ 38 23.7% 39.5% 44.7% 227 169
東京 2- 5- 2- 3/ 12 16.7% 58.3% 75.0% 165 156
中山 2- 1- 1- 3/ 7 28.6% 42.9% 57.1% 124 187
中京 10- 6- 4- 17/ 37 27.0% 43.2% 54.1% 177 108
京都 3- 2- 4- 10/ 19 15.8% 26.3% 47.4% 181 104
阪神 2- 5- 4- 14/ 25 8.0% 28.0% 44.0% 38 83
小倉 1- 0- 1- 9/ 11 9.1% 9.1% 18.2% 28 13

 

 

続いて平沢健治騎手ですが、この騎手は回収率がスゴイですね。

 

基本、小倉以外ならOKのオールマイティタイプで、

1~7番人気の馬に乗っていたら、馬券の中心にしておきましょう。

 

 

騎手:熊沢重文

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 2- 2- 1- 18/ 23 8.7% 17.4% 21.7% 27 30
新潟 4- 5- 2- 19/ 30 13.3% 30.0% 36.7% 57 70
東京 3- 1- 1- 9/ 14 21.4% 28.6% 35.7% 250 100
中山 1- 2- 1- 10/ 14 7.1% 21.4% 28.6% 17 59
中京 5- 3- 7- 20/ 35 14.3% 22.9% 42.9% 57 93
京都 4- 3- 1- 10/ 18 22.2% 38.9% 44.4% 49 70
阪神 6- 0- 1- 17/ 24 25.0% 25.0% 29.2% 124 71
小倉 4- 2- 1- 7/ 14 28.6% 42.9% 50.0% 104 84

 

 

あのダイユウサクで有馬記念をレコード勝ちした熊沢重文騎手は、

平地のG1を3勝している栗東トレセン所属の騎手。

 

主戦場である中京、京都、阪神、小倉競馬場の成績が良い傾向で、

東日本の競馬場では一段成績が落ちますね。

 

福島、新潟、東京、中山競馬場では、

人気馬に乗っている場合でも、軽視しても良さそうです。

 

 

騎手:五十嵐雄祐

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 9- 4- 6- 21/ 40 22.5% 32.5% 47.5% 112 86
新潟 13- 9- 6- 24/ 52 25.0% 42.3% 53.8% 119 125
東京 1- 1- 2- 17/ 21 4.8% 9.5% 19.0% 23 32
中山 2- 3- 1- 15/ 21 9.5% 23.8% 28.6% 55 49
中京 2- 5- 2- 32/ 41 4.9% 17.1% 22.0% 38 46
京都 2- 1- 1- 9/ 13 15.4% 23.1% 30.8% 90 126
阪神 0- 2- 1- 8/ 11 0.0% 18.2% 27.3% 0 39
小倉 0- 0- 1- 2/ 3 0.0% 0.0% 33.3% 0 153

 

 

続いて五十嵐雄祐騎手ですが、福島と新潟競馬場は大得意。

 

そしてあからさまに東京と中京競馬場が苦手のようです。

 

とくに中京競馬場は、

人気サイドに乗ることが多いわりに成績が悪いですよね。

 

ここではスパッと切るのも面白いでしょう。

 

 

騎手:植野貴也

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 4- 3- 3- 10/ 20 20.0% 35.0% 50.0% 154 125
新潟 4- 3- 4- 16/ 27 14.8% 25.9% 40.7% 61 77
東京 1- 1- 1- 8/ 11 9.1% 18.2% 27.3% 40 87
中山 1- 0- 0- 9/ 10 10.0% 10.0% 10.0% 98 25
中京 3- 0- 3- 18/ 24 12.5% 12.5% 25.0% 110 79
京都 3- 2- 3- 10/ 18 16.7% 27.8% 44.4% 154 103
阪神 2- 2- 5- 11/ 20 10.0% 20.0% 45.0% 45 85
小倉 3- 0- 4- 11/ 18 16.7% 16.7% 38.9% 157 116

 

 

続いて植野貴也騎手。

 

この騎手も栗東トレセン所属の馬なので、

主戦場の西日本の競馬場の方が得意なデータになっています。

 

ただ東日本でも福島と新潟競馬場は、

京都や阪神競馬場と同じレベルの成績を残しています。

 

東京と中山競馬場では、軽視しても良さそうですね。

 

 

騎手:森一馬

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 2- 2- 1-11/16 12.5% 25.0% 31.3% 61 57
新潟 4- 1- 1-12/18 22.2% 27.8% 33.3% 246 87
東京 1- 3- 2- 4/10 10.0% 40.0% 60.0% 30 151
中山 2- 1- 2- 6/11 18.2% 27.3% 45.5% 48 155
中京 4- 2- 2- 8/16 25.0% 37.5% 50.0% 70 80
京都 2- 1- 2- 6/11 18.2% 27.3% 45.5% 83 61
阪神 2- 3- 2-12/19 10.5% 26.3% 36.8% 108 109
小倉 1- 2- 1- 3/ 7 14.3% 42.9% 57.1% 95 78

 

 

森一馬騎手は1番人気の馬に乗れば信頼度が高くて、

どの競馬場でもソツなくこなすタイプ。

 

上記の競馬場別データみて分かる通り、

あからさまに苦手なコースは無さそうです。

 

障害騎手の若手で一番成長株の騎手でしょう。

 

 

騎手:高田潤

場所 着別度数 勝率 連対率 複勝率 単回値 複回値
福島 2- 1- 1- 7/11 18.2% 27.3% 36.4% 130 68
新潟 0- 0- 2-12/14 0.0% 0.0% 14.3% 0 21
東京 1- 2- 0- 3/ 6 16.7% 50.0% 50.0% 125 111
中山 4- 1- 3- 8/16 25.0% 31.3% 50.0% 60 93
中京 2- 1- 3-11/17 11.8% 17.6% 35.3% 83 52
京都 3- 5- 0- 4/12 25.0% 66.7% 66.7% 65 91
阪神 4- 2- 2- 8/16 25.0% 37.5% 50.0% 48 81
小倉 3- 2- 2- 3/10 30.0% 50.0% 70.0% 62 105

 

 

そして最後に高田潤騎手。

 

東京、中山、京都、阪神、小倉競馬場の複勝率がズバ抜けていて、

反対に新潟競馬場の成績はボロボロです。

 

メイン4場(東京、中山、京都、阪神)プラス小倉競馬場では

要注意人物ですね。

 

それ以外は軽視しても良さそうに思います。

 

このようの障害コースは、

平地のコースよりも特色があるので、得手不得手が分かりやすい傾向です。

 

また障害騎手に注目している人も少なそうなので、

賢くデータ分析すれば、儲かるパターンがいくつも出てくるでしょう。

 

相手が弱いフィールドで戦う!

 

これが勝利への近道です。

 

ぜひ参考にしてください。

 

 

投稿者プロフィール

田中洋平
田中洋平
田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。

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