『オークス馬券圏内に社台系なしで緊急事態か!?』田中洋平
2020年のオークスは、デアリングタクトが無敗での2冠を達成。
直線に向いてからの進路探しに少しドキドキさせられましたが、
前が開いてからの末脚は、やはりケタが違いましたね。
そして2着にウインマリリン、3着にウインマイティーと
ウインレーシング勢の2頭が馬券に絡む大活躍。
デアリングタクトの末脚よりも注目したいのが、
社台系牧場の生産馬が3歳クラシックで、1頭も馬券に絡まない事態になったこと。
競馬界のフィクサーと言われて久しい社台グループですが、
とくに近年は早期デビューをして、ダービー獲りを目指す馬が増えています。
芝G1の年間完全制覇を目指しているような社台グループの馬が、
3歳クラシックで1頭も馬券に絡まないことがあったのか?
2010年からの10年分を調べてみました。
※表が見切れている場合は、スライドすると見れます
■桜花賞
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2020.4.12 | レシステンシア | 2 |
2019.4.7 | グランアレグリア | 1 |
2018.4.8 | アーモンドアイ | 1 |
2017.4.9 | リスグラシュー | 2 |
2016.4.10 | ジュエラー | 1 |
2015.4.12 | クルミナル | 2 |
2015.4.12 | コンテッサトゥーレ | 3 |
2014.4.13 | ハープスター | 1 |
2013.4.7 | レッドオーヴァル | 2 |
2012.4.8 | ジェンティルドンナ | 1 |
2011.4.10 | マルセリーナ | 1 |
2010.4.11 | アパパネ | 1 |
■皐月賞
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2020.4.19 | サリオス | 2 |
2019.4.14 | サートゥルナーリア | 1 |
2018.4.15 | 該当馬なし | × |
2017.4.16 | アルアイン | 1 |
2016.4.17 | マカヒキ | 2 |
2015.4.19 | ドゥラメンテ | 1 |
2014.4.20 | イスラボニータ | 1 |
2013.4.14 | ロゴタイプ | 1 |
2012.4.15 | ワールドエース | 2 |
2011.4.24 | オルフェーヴル | 1 |
2010.4.18 | ヴィクトワールピサ | 1 |
■NHKマイルカップ
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2020.5.10 | ラウダシオン | 1 |
2019.5.5 | アドマイヤマーズ | 1 |
2018.5.6 | ギベオン | 2 |
2017.5.7 | アエロリット | 1 |
2016.5.8 | メジャーエンブレム | 1 |
2015.5.10 | ミュゼスルタン | 3 |
2014.5.11 | ミッキーアイル | 1 |
2013.5.5 | インパルスヒーロー | 2 |
2012.5.6 | カレンブラックヒル | 1 |
2011.5.8 | グランプリボス | 1 |
2010.5.9 | リルダヴァル | 3 |
■オークス
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2019.5.19 | ラヴズオンリーユー | 1 |
2018.5.20 | アーモンドアイ | 1 |
2017.5.21 | ソウルスターリング | 1 |
2016.5.22 | シンハライト | 1 |
2015.5.24 | ミッキークイーン | 1 |
2014.5.25 | ヌーヴォレコルト | 1 |
2013.5.19 | エバーブロッサム | 2 |
2012.5.20 | ジェンティルドンナ | 1 |
2011.5.22 | エリンコート | 1 |
2010.5.23 | アパパネ | 1 |
■ダービー
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2019.5.26 | ヴェロックス | 3 |
2018.5.27 | ワグネリアン | 1 |
2017.5.28 | レイデオロ | 1 |
2016.5.29 | マカヒキ | 1 |
2015.5.31 | ドゥラメンテ | 1 |
2014.6.1 | イスラボニータ | 2 |
2013.5.26 | エピファネイア | 2 |
2012.5.27 | フェノーメノ | 2 |
2011.5.29 | オルフェーヴル | 1 |
2010.5.30 | エイシンフラッシュ | 1 |
■秋華賞
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2019.10.13 | クロノジェネシス | 1 |
2018.10.14 | アーモンドアイ | 1 |
2017.10.15 | ディアドラ | 1 |
2016.10.16 | ヴィブロス | 1 |
2015.10.18 | ミッキークイーン | 1 |
2014.10.19 | ショウナンパンドラ | 1 |
2013.10.13 | 該当馬なし | × |
2012.10.14 | ジェンティルドンナ | 1 |
2011.10.16 | アヴェンチュラ | 1 |
2010.10.17 | アパパネ | 1 |
■菊花賞
日付S | 馬名S | 着順 |
---|---|---|
2019.10.20 | ワールドプレミア | 1 |
2018.10.21 | フィエールマン | 1 |
2017.10.22 | ポポカテペトル | 3 |
2016.10.23 | サトノダイヤモンド | 1 |
2015.10.25 | リアルスティール | 2 |
2014.10.26 | サウンズオブアース | 2 |
2013.10.20 | エピファネイア | 1 |
2012.10.21 | 該当馬なし | × |
2011.10.23 | オルフェーヴル | 1 |
2010.10.24 | ローズキングダム | 2 |
NHKマイルカップと秋華賞は3歳クラシックではないですが、
社台グループの凄さが分かりやすいので入れています。
なんと!過去10年で、
社台グループの生産馬が1頭も馬券に絡まなかったのは3回だけ。
これが多いのか?少ないのか?というと、
確実に少ない部類でしょう。
今は社台ファームとノーザンファーム、
そして追分ファームと3つに分社化されたような感じですが、
やはり社台グループは巨大ですね。
では順に見て行きましょう。
■2012年 菊花賞
1着 ゴールドシップ(小林英一,出口牧場)
2着 スカイディグニティ(G1レーシング,大栄牧場)
3着 ユウキソルジャー(ちきり組合,高橋フアーム)
この年はダービー馬のディープブリランテが、
菊花賞を前に右前脚屈腱炎を発症して引退。
ダービー2着馬のフェノーメノは、
前哨戦のセントライト記念を完勝するが、
次走は天皇賞秋を使って2着。
ちなみにこの時のセントライト記念2着馬が、
菊花賞2着のスカイディグニティ。
そしてダービー3着のトーセンホマレボシも
菊花賞を前に屈腱炎で引退。
この年の菊花賞に出ていた社台グループ生産の有力馬は、
マウントシャスタくらいと、かなり手薄な印象です。
ただスカイディグニティは社台系一口馬主のG1レーシング所有ですし、
フェノーメノが出走していたらと考えると、ここは力負けではなさそうですね。
■2013年 秋華賞
1着 メイショウマンボ(松本好雄,高昭牧場)
2着 スマートレイアー(大川徹,岡田スタツド)
3着 リラコサージュ(ロードホースクラブ,ケイアイファーム)
この年の社台グループ生産牝馬はかなり不作で、
桜花賞は2着に社台ファーム生産のレッドオーヴァル。
オークスは2着に社台ファーム生産のエバーブロッサム、
3着にノーザンファーム生産のデニムアンドルビーの3頭だけ。
桜花賞3席、オークス3席、秋華賞3席の計9席のうち、
3席しか取れてないのは珍しいですね。
秋華賞は金子オーナーのデニムアンドルビーが、
1番人気に推されましたが、結果は4着と撃沈でした。
ここは完全に力負けでしょう。
■2018年 皐月賞
エポカドーロ(ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン,田上徹)
サンリヴァル(幅田京子,斉藤安行)
ジェネラーレウーノ(Gリビエール・レーシング,新生ファーム)
そして次が、もっとも最近の2018年皐月賞。
この年はけっこう揃ったラインナップでした。
1番人気 ワグネリアン(ノーザンファーム)
2番人気 ステルヴィオ(ノーザンファーム)
3番人気 キタノコマンドール(ノーザンファーム)
4番人気 ジャンダルム(ノースヒルズ)
5番人気 オウケンムーン(ノーザンファーム)
6番人気 タイムフライヤー(社台白老ファーム)
7番人気 エポカドーロ(田上徹)
8番人気 ジェネラーレウーノ(新生ファーム)
9番人気 サンリヴァル(斉藤安行)
上位人気5頭が社台グループ生産馬でしたが、
結果は7~9番人気の3頭が馬券に絡むという結果に。
まさに全滅でした。
この年の皐月賞は、
前の3頭が飛ばして、後続に10馬身差をつける特殊なレース展開。
社台グループ生産馬の人気勢は、
すべての馬がポジションが後方過ぎて、直線伸びてきたが届かず。
1番人気のワグネリアンは直線で挟まれる不利もあったようですし、
なかなか厳しかったように思います。
展開が向かなかったという面もあり、ここは仕方ないでしょう。
そして最後が今年のオークス。
デアリングタクトは生産が長谷川牧場で、
ノルマンディーサラブレッドレーシングの代表は弟の岡田牧雄氏。
ウインマリリンとウインマイティーは、
ともにコスモヴューファームで、
ウインレーシングの代表は岡田繁幸氏の三男岡田義広氏。
マイネル軍団の総帥岡田繁幸氏は岡田牧雄氏の兄なので、
一時は打倒社台グループの急先鋒と言われていた岡田兄弟が、
今回は「してやったり」の結果でしょう。
牡馬クラシックはノースヒルズのコントレイルが有力ですし、
今年の社台グループは、ちょっと緊急事態なのかもしれません。
盛者必衰という言葉あるように、
この先、少し勢力図が変わる可能性もあるでしょう。
1社による完全独占は面白くないので、
ノーザン以外の勢力の頑張りに期待したいと思います。
投稿者プロフィール
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田中洋平(日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家)
かつてはダイニングバーの経営者だったが、現在は競馬研究ひと筋。「競馬最強の法則」の馬券ブラックジャーナルコーナーにおいて、2009年に逃げ穴馬馬券術を紹介。2010年には同誌にて「コンピアナライズを追え」で巻頭でデビューを果たし、2012年にKKベストセラーズより「新コンピアナライズ・ゾーンレベル」を出版。現在は日刊スポーツ公認のコンピ指数研究家として日刊公式ウェブサイト「極ウマ・プレミアム」にてコラム、テクニカル6を連載中。また重賞特集号として日刊スポーツが発行しているタブロイド紙のコンピ予想も担当している。
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